刑事被告人が法廷で着用できる「ネクタイ的なもの」と「革靴的なもの」を見て思わず失笑

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20081128-033595/news/20090521-OYT1T00061.htm

 従来は、ネクタイは自殺防止の観点から着用を認められず、靴もサンダルに限定されていた。日本弁護士連合会が裁判員の予断を防ぐための対応を要望したことを受け、法務省は運用を変更。同省幹部は「保安上問題がない形状の物があったので譲歩できた」と話す。

保安上問題のない形状の物がこちらの記事の画像。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090622-OYT1T01226.htm

おいおい、これに280万も使ったの?誰か止めなかったのかよ。
靴にいたっては…私の認識ではこれを革靴とは呼べない。どう見てもサンダルである。なーにが「ズボンのすそがかかれば革靴のように見える」だよ! 記者が本心からそう思うのなら明日からそれ履いて通勤すればいい。ズボンのすそで隠せば分からない


そもそも刑事被告人の服装に関する規定はない(はず)。そりゃそうだ。被告人が何を着たって、基本的に公判には何の影響もない。それでも「これまでは拘置中の被告がジャージーなどを着て、手錠・腰縄姿で入廷する光景が一般的だった」のは、単に頭の弱い方々によってそのように「運用」されてきたに過ぎないのだ。
ネクタイは自殺防止あるいは攻撃防止のため召し上げ。ベルトも同様。靴は逃走防止のため、やはり召し上げ。あと記事でも触れられているが、刑事被告人は入廷に際して手錠、腰縄をつけられて移動する。腰縄ですよ腰縄。時代劇で見るようなアレ。いやはや日本は伝統を重んじる美しい国ですなー。いや、ジョークでも何でもなく、この国の司法制度は今だに「お上が悪人を裁く」スタイルを採っている。


それがこのたび、裁判員を混ぜることになったとしても、実は何も変わらない。陪審制度は「お上の暴走を防ぐ」のが主目的だが、この国のそれは目的が違う。国民を腐った司法の共犯者にすることで、これまで以上に何も言わせなくすることが目的である。いや、実は今までも共犯関係にあったのだけど。
だから今回の、刑事被告人の服装に関するちょっとした変化も、本当なら刑事被告人の人権の観点から議論が行われるべきところなのに、そういった話はもう全然出てこない。それどころか、素人奉行は見た目で判断してしまうだろうからという、バカ扱い前提の、誰に対する配慮なのか分からない「配慮」と、セレモニーとしてのお白州の品格とのせめぎ合いが議論の中心になってしまう。模擬裁判の結果では、確か見た目はあまり関係ないというデータが出たような報道を見た気がするが。法務省は模擬裁判を単なるキャンペーンとしてしか見ていなかったのだろうか。


最後に、私から提案したい。
裁判官は法服をやめて、検察官もスーツをやめて、上下ジャージにサンダルで公判せよ。
裁判員が予断を持たないようにする」そして「被告人の逃走や自傷他害のおそれを減らす」を両方満たす、いいアイディアだと思うが。