今こそ日本国憲法第1章の国民投票を

一年ほど前だろうか。通勤中に「愛子さまがどーたらこーたらで…かわいらしいわねぇ…」とか喋っていた中年の女性2人とすれ違った。

振り返らざるを得なかった。
何しろ初めて生で見たのである。
天皇制を(制度としての天皇制を論じていたわけではなさそうだったが)肯定的に見ている人間を。


NHKの、天皇誕生日一般参賀のニュースでインタビューに答え、「天皇陛下が国民のことを心配してくださっていて感動した」みたいなことを言っていた中年の女性。彼女は、涙ぐんでいた。サクラとは思えないので、彼女は確かに彼の誕生日を祝いに皇居まで出掛け、そして本当に感動したのだろう。

これは。

日本国憲法 第1条

天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

私はこの条文に、日本国憲法が「戦後」にかけた期待を見ていた。

天皇の地位は、日本国民の総意に基づく。

言い換えれば、日本国民の総意に基づかない限り、天皇はその地位にとどまることができない。
日本国民である私は天皇制の廃止を希望しているので、この時点で「総意」は崩れる。よって、天皇制はその根拠を失い、天皇はその地位を失う。「総意」が1人も欠けない全員の意思であるかどうかは異論があることを考えると、これはちょっと極論であるが。
でもこれは主張したい。日本国憲法第1章について、はやく国民投票を実施せよ、と。日本国憲法が施行されてこのかた、一度としてこの「総意」は確かめられていない。しかし、安倍晋三(あべ・しんぞう)氏が首相のときに、国民投票法が整備された。今なら公式に確認できる。今こそ「総意」を確かめるときである。

で、私の思い描いていた構図では、これで天皇制は廃止され、明仁(あきひと)さんはじめ皇族の皆さんは開放される。そう思っていた。

しかし、そうでもないのかもしれない。今日の「一般参賀」には、この寒いのにわざわざ22,655人もの人が訪れたらしい*1天皇制は、私が思っているよりも支持されているのかもしれない。いやでも、だからこそ、日本国憲法第1章の国民投票を。


このエントリは、
天皇を あがめてみせるのは ひきょーだ。だって、天皇制っていうのは ドレイ制度じゃないか。天皇制の主体は、いったい どこにあるのだ。 - hituziのブログじゃがー
を見て書きました。
森達也(もり・たつや)さんが、天皇のドキュメンタリーを撮りたかった(その後、ボツになった)と言っている中で、エンディングにこんなシーンを持ってきたかったと紹介しています。

ともかくもしも会えたのなら、僕は一つだけ質問するつもりでした。たった一言――おつらいでしょ? って。

「ご臨終メディア」128ページ

少なくとも、この企画が実現するような天皇制でないなら、廃止すべきだと私は思う。