正しい。正しいんだけど…

犯行予告系書き込みの議論は、警察側からの視点も交えて考えなければいけないと思う話を読んで。

「何故、警察は積極的にネットの犯罪予告書き込みを逮捕、補導するか」。それは「犯罪が起きる可能性があるから」「そのごくわずかの可能性ををつぶす責任が、警察にはあるのです」。「これらの書き込みをスルーして、実際に秋葉原のような事件が起こったら(略)批判される可能性が高い」ゆえに「その職務として動かざるを得ない」。


いたずらをいたずらとして見過ごさず、実際の犯罪行為が起こる前に事前に予防する。それはとても素晴らしいと思うが、その「予防」は予告現場周辺の警戒とかであるべきで、何もしていないうちから逮捕というのはマズイ。起訴猶予とか釈放とかもっともらしく書いてあるが、逮捕はそれだけで相当重い。「少なくとも今の世論では。」

上で「実際の犯罪行為が起こる前」と書いた。
「とりあえずはっきりしている「威力業務妨害」を使う」と書いてあったので。
小女子のときは学校の業務を妨害したから業務妨害が成立するかもしれないが、埼京線上野駅のときは警察の業務を妨害した、と報道にはあった(ような記憶。架空の駅なので市井の人の業務は妨害されていないから、と推量)。
警察が犯罪行為を未然に防ごうとすることは本業のひとつである。現場周辺の警戒が「業務妨害」に当たるという主張は、警察は犯罪の防止を本来の業務ではないと言っているのと同じである。

ついでにもうひとつ。もし、その犯罪で動いた警察官のために、ほかのところで未然に防げた犯罪が起こってしまったら、どうしますか?

それは仕方がない。交番で道を尋ねていたらちょうどその前の路上で引ったくりがあって、警官に「私が入り口に立って目を光らせていたらそれが抑止効果になっていたはず」とか言われて捕まった、というのはあり得ない。どうしますかって聞かれても…。

問われるのはその文章や単語ではなく、その行為

これはうなずける。「小女子は小さい女の子のメタファーである」とか解釈することの妥当性とかが争われるのかなぁ。ちょっと楽しみ。

行為が犯罪予告的であれば、つまり「そう思わせる」という意図が見受けられれば、逮捕される可能性はあるでしょう

逮捕される可能性がある、というのはいつでもどこでも誰でもそうなので何ともいえませんが。それは置いておくとして、逮捕要件は「業務妨害」なので、あくまで犯罪予告で捕まるのではなく、犯罪予告「によって誰かの業務が妨害された」ことによって捕まるのである。公権力をおちょくった罪、ではない。


インターネットは悪ふざけの道具ではないというのはもちろんだが、それを安易に排除する権力と、あろうことかそれを容認する風潮には異を唱えたい。